俺の宝物は、お前の笑顔。

あっという間に時間が過ぎ、イベントは終了して青かった空はすっかり紺色だ。



「あー、面白かった!」



宗馬は思いっきり伸びをする。



「すごかったね、わたし、声優イベントに行ったのこれが初めてだから!」



「あたしも〜!」



あまりに興奮してしまったあたしは、思わず愛菜の手をとってはしゃいでしまった。



「なあ、健二はどうよ?」



「まあ、俺も初めてだったし、よかったんじゃねぇの?」



すっごい微妙そう。
誘ってもらったのに、この態度はなくない?


……あれ?


宗馬と高畑くんの後ろのあたりで、胸元に黒いリボンをつけていて、レースのついた淡い紫色のワンピースを着た女の子が、じっとあたしたちのことを見ていることに気がついた。


彼女の髪型は、ふんわりとしたツインテール。
よーく見ると、そのツインテールを揺らした女の子の目に縁取られたまつ毛は、クリンとなっていて。


そして、小さめでプルプルしたさくらんぼ色の唇に、赤ちゃんのような綺麗な肌。




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