俺の宝物は、お前の笑顔。

間違いない、袖川さんだ。


……だけど、袖川さんなことは袖川さんだけどなんであんなに口を結んで堅苦しい表情をしているんだろう？


それとも、あたしがそう見えているだけかな？



「袖川さん！　袖川さんでしょう？」



あたしが話しかけてみると、そばにいた高畑くんは、



「げっ……」



という声を出しながら後ずさった。



「あっ……えとー、こんばんは星野さん！　皆さんも！」



袖川さんが笑顔でそう言うと、今日もマスカラで塗られているのか、クリンとしたまつ毛がパチパチっと動いた。



「こんばんは」



あたしは、挨拶を返しながらもぎこちなく笑ってしまったけれど、袖川さんはどうも気に留めていないみたい。


さっきの堅い表情は、やっぱり気のせいだったんだろうな。
まるで嘘みたいに笑顔なんだもの。



「こ、こんばんは……」



つられるようにそう言って、軽く頭を下げた愛菜。



「あなた、久保田 愛菜さん！？　星野さんと仲良くしてるとこも見てるし、1学期の成績優秀者として出てたでしょ！？」