俺の宝物は、お前の笑顔。
第三章
ゆりあside
声優イベントから2日後。
今日は愛菜と一緒に、図書館で夏休みの宿題をしているところ。
「愛菜、ここってどうやったら分かる?」
「ここはねー……」
その途端、図書館のドアが勢いよく開いてあたしと同じくらいの男の子が入ってきた。
……って、あの高身長に変にセットしていない茶色い髪、無愛想な表情をしていて。
よく見たら高畑くんじゃん。
「あ、高畑くんも勉強?」
「そりゃ見りゃ分かんだろ」
あたしに見向きもしないで、カバンを置いて教材を取り出す高畑くん。
その途端、スタスタと足音が聞こえてきてまたドアがガラッと開いた。
「おい健二ー、置いていくなよー」
宗馬が入ってきた。
この言葉からして、高畑くんと一緒に図書館に来る予定だったようだ。
「宗馬が人に勉強教えてもらう立場にも関わらず、『だりー』とか言いながら歩くからだろ」
いや2人とも声デカっ……。
何人か本を読んでいる人も、中断させて高畑くんと宗馬のこと見てるじゃん。
「2人とも静かにしなよ、他の人も勉強したり本読んだりしてんだから」
「星野みたいなうるさい奴には1番言われたくない」