俺の宝物は、お前の笑顔。
そう思った時は、すでに遅し。
宗馬が不思議そうに見ていて、高畑くんはいぶかしげに口元をキリッとさせている。
他の人も、目を見開いてあたしを見ていた。
……うん、これは謝らなきゃだよね。
「ごめんなさーい」
あたしは他の人たちに頭を軽く下げてから、椅子を起こして、座り直した。
「ゆ、ゆりあ大丈夫?」
「うん、大丈夫。これくらい」
冷や汗をかいている愛菜に、あたしは軽く手を振った。
「買いに、行かない? 浴衣」
「買いに行くって言っても、ここら辺に浴衣買えるとこあったっけ……」
「近くに呉服屋さん、あるでしょ? 1回、行ってみようよ」
そう、実はこの図書館の近くに呉服屋さんがあって、あたしも愛菜も中学生の時に買った浴衣はそこで買ったもの。
「あ、そっか。分かった、じゃあ明日、予定あけとくね」
愛菜は、そう頷いてくれた。