俺の宝物は、お前の笑顔。

「わたしはパステルカラーなら、なんでも好きなので……」



あたしが咄嗟に答えた後に、遠慮がちに愛菜がそう言った。


確かに愛菜はパステルカラーが好きだけど、中でも『これが好き!』というものはないもんね。


だけど、『なんでも好き』と答えたことでかえってお姉さんを困らせたとでも思っちゃったんだろうな。


それでもお姉さんは、あたし達に似合いそうな浴衣を一緒に選んでくれた。



「黄色でいったら、お花の色になってしまうのですが、こちらがすごくお似合いだと思うんですが、いかがですか?」



お姉さんが選んでくれた、1着目の浴衣は黄色と水色の花模様のついたデザインだった。
あたしの大好きで元気の出る黄色、そして涼しげな水色がすごく可愛くてキレイ。



「パステルカラーにもいろいろあるのですが、こちらの浴衣は清楚な印象があっておすすめですよ」



お姉さんが、愛菜に見せたのは白地に紫のあじさいの浴衣だった。
確かに、清楚な見た目をした愛菜にすごく合いそう。



「試着室もございますので、ぜひ着て確かめてみるのもいいと思いますよ」



「あ、はい!」



あたしは、黄色と水色の花柄の浴衣を受け取って試着室に案内してもらった。



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