俺の宝物は、お前の笑顔。

ついに、夏祭り当日の日がやってきた。


ちゃんと予定通りの時間に合わせて、ママに浴衣を着付けてもらい、髪の毛もママがふんわりとまとめてくれた。


それから、愛菜と一緒に浴衣を見に行った時に一緒に買った、白い花を集めた髪飾りをつけた。



「愛菜ー」



「ああ、ゆりあ」



愛菜は、前髪をふわりとあげていて、横に束ねられて浴衣に合わせた紫色の大きな花の髪飾りをつけている。


いつも愛菜は、前髪をおろしているので違った印象を受けて、なんというか、ギャップがあった。


夏祭りが開催された公園へと行ってみると、もう屋台の周りに人が集まっている。

大勢の人の中には、高畑くんの姿もあった。



「あれ、高畑くんじゃん」



「うわ、お前ら……」



あたし達をみるなり、眉をひそめた高畑くん。



「“お前ら”じゃなくて、星野 ゆりあと久保田 愛菜ね」



「高畑くんも、夏祭り来たんだ」



愛菜は、いつものような微笑みで言う。



「家族が行きたいっていうからだよ」



「ご家族の方見えないみたいだけど?」



愛菜が、不思議そうに辺りをキョロキョロと見回しながら尋ねる。



「別行動したいって俺が言ったから」



……えぇ〜、あたしだったら絶対別行動なんてしたいと思わないけどな。


せっかくの夏祭りなんだから、パパとママがいるんだったら一緒に過ごしたいよ。


……なーんて口に出したら、また何か言われるに決まっているから何も言わないけどね!




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