俺の宝物は、お前の笑顔。
おじさんからピストルを受け取った宗馬は、自分の欲しいものを目掛けて打ってみる。
「あっちゃー!」
宗馬が打ったピストルの中から出てきた球は、どこにもぶつかることなく屋台の奥の方へピューンと飛んで行ってしまった。
「残念だったな、兄ちゃん! 後2回だぞ」
「後2回……!」
宗馬は、また構えた。
「よし、ここだ!」
宗馬がまた打ったものの、結局球はグッズが乗ってある台にぶつかってしまった。
「ちくしょー!」
後、残りできるのは1回のみ。
「宗馬がんばれ!」
「頑張って、水瀬くん!」
あたしと愛菜は応援しているものの、高畑くんは腕組みをしていて何も言わない。
……友達なんだから応援してやりなよ。
「今度こそ……!」
出てきた球は、宗馬が狙っていたグミの箱に命中した。
「よっしゃあー!!」
「はいよ」
おじさんは、宗馬にグミの箱を渡した。
「あざーっす!」
宗馬は箱を開けて、グミを食べながら歩いた。
「お前らも食うか?」
「いいのか? お前が取ったやつなのに」
「かき氷のお礼だよ」
「それはお前が勝手に食べたけどな」
2人はそんなやりとりをしていて、あたしも愛菜も思わずプッと吹き出してしまった。