俺の宝物は、お前の笑顔。
「お姉さん、めちゃくちゃ可愛いなって思っててー」
「よかったら、この後一緒にあそこのお店行きませーん?」
なんだか怪しい声が聞こえてきた。
あっ、やっぱりナンパされちゃってるよ……。
さっきのあたしの心配事は、どうやら当たってしまったようだ。
屋台がない場所で、袖川さんが2人の男の人に声をかけられている。
袖川さんは眉を下げてふるふると震わせていて、こっちから見ても怖がっているのがわかるくらいだった。
男の人たちは、怯えている袖川さんを見ることを楽しんでいるかのようにニヤニヤしている。
あたしがずっとその場を見ていることで、愛菜達も袖川さんがナンパされていることに気がついたみたい。
「……危なくない?」
愛菜が、あたしの耳でコソコソと言っている。
高畑くんと宗馬も、まるで怒ってるかのように眉をひそめている。
「あの、やめてくださ……」
「いいじゃん、遊ぼうぜ!」
「遊ぶためのお金も、全部俺らが出しますんで!」
袖川さんが後ずさっても、容赦なく近づいてくる男の人たち。
ま、まずい!
「袖川さーん!」