俺の宝物は、お前の笑顔。
ふとした瞬間に、宗馬のスマホが鳴り出した。
「あ、わりぃ。親が、牛乳切れたからスーパー寄って買ってくるようメッセージ来た。つーわけだから、先に帰ってて」
「了解」
スマホをポケットにしまった宗馬は、たったった、と走り去っていった。
「健二ー!」
……あいつか。
振り向くと、案の定白い浴衣を着た袖川が、後ろに結っている三つ編みを揺らしながらこっちに走ってくるのが見えた。
「そ、袖川……」
「さっきはどうもありがとう」
「だから、俺はなんもしてねーって……」
さっきも言っただろうが。
そんなにお礼が言いたいなら、星野と宗馬に言えよ。
どう考えたって、あいつらしか動いてないっつーの。
「でもついてきてくれたし」
息を弾ませて、少しだけ顔を赤くして言う袖川。
「で? そんだけ?」
「あっ……なんていうか、またああいう人たちが来たら怖いから、ちょっと付き合ってほしいなー、なんて」
はぁ?
こいつの頭、大丈夫かよ。