俺の宝物は、お前の笑顔。
「ねぇ健二」
浴衣にあるレースを揺らしながら、俺に話しかけてくる袖川。
「今日の星野さんと久保田さん、可愛かったね?」
「別に」
こいつもそうだが、あの2人は浴衣を着ていて髪型を変えているだけ。
雰囲気は確かにいつもと違ったが、目をひくようなもんでもない。
「あたしと、星野さんと、久保田さん。誰が1番可愛かった?」
うわっ、来たよ。このめんどくさい質問。
こういうやつって、自分が1番可愛いって言われないと機嫌悪くなるタイプだよな。
こういう女は今までに何回も見た。
これだから、こういうことを言ってくる女はマジで近づいてほしくないんだよ。
「星野さん? それとも、久保田さん?」
「知らね」
誰が1番可愛いってなんだよ。
本当に可愛さで誰が1番だとか、2番だとか俺は産まれて16年間、興味を持ったことなんて一度もない。
クラスでのランキングだってそうだし、もちろん芸能人のもだ。
可愛い女性芸能人ランキングとか、あんなの可愛さじゃねぇだろ、と思う。
普通に『可愛い』と思った人が多かっただけって話なのに、なぜいちいちネットでそんな話が繰り広げられるのか、考えるだけで無駄だとしか思えない。