俺の宝物は、お前の笑顔。

「すいません、お姉さん」



「こないだは、どうもすいません。友達のこと怖がらせちゃって」



「えっと……」



プールを出て、宗馬と別れてからのことだった。


この声って、聞き覚えがある。


いや、この声だけではない。この男の声も確かどこかで聞いたことがある。


そう思って、俺は声のする方に近づいてみる。



「お詫びといってはなんですが、俺たちとお茶しません?」



は?


声の正体がわかった後、俺は思わず立ち止まってしまった。


星野が、絡まれている。


袖川に絡んでいた奴ら……なんで、今度は星野をターゲットにしているんだ?



「あの、お詫びってなんであたしに?」



「君が1番に駆け付けてたじゃん? 大切な友達のこと守る姿かっこいいなーなんて」



「ああ、その子!?」



遠くから、また別の男が近づいてくる。



「そうそう、この子なんだよ!」



「安心してよ、俺の友達だから」



そう言いながら、そいつらは星野をぐるっと囲む。


袖川を守ったから、あの人数だと星野も敵対できると思ったから、そうさせないためにわざわざ友人呼んで人数を増やしたのか。


……卑怯な手を使いやがって。




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