俺の宝物は、お前の笑顔。
さっきまで、この男たちは星野を囲んでいたが俺が来たことで、今度は俺を囲もうとしている。
……あっ、今がチャンスだ。
「おい行くぞ」
俺は男たちが星野から離れた隙を狙って、手首を掴み、そのまま走った。
「おい待て!!」
……俺と星野の足が速くてよかった。
俺たちが走ったことで、男たちも追いつけていないみたい。
そのまま俺たちは、近くにあった公園の奥にあったベンチに座る。
「ぷっ、ふはははっ」
あいつらのことを思い出して、俺は笑いが込み上げてきてしまった。
「どうしたの?」
星野は、首を傾げながら聞いてきた。
まあ、あんな柄の悪い男に絡まれた後にこんな風に笑ったりしたら変か。
「あぁ、わりぃ」
大して足も速くないのに、よく星野を狙うことを考えたと思うよ。
って言っても、まあ仕方ねぇか。
知っていた上で、星野を狙っていたらだいぶ根性座っている方だよな。
「星野。こんな風に走ればよかっただろ」
「え、でも……」
「足の速い美少女なんだろ……?」
宗馬。
俺も星野の前で素直になるだなんて、無理みたいだ。