俺の宝物は、お前の笑顔。
「じゃあ、高畑くんと星野さんは売る係やってくれる?」
あっという間に、文化祭の当日がやってきた。
あたしと高畑くんが、ワッフル屋さんで接客をする係。
「了解でーす!」
敬礼をして答えるあたし。
ちなみに、あたしと高畑くんが接客をする係というのは完全に推薦で決まった。
あたしは、明るいから接客に向いているんじゃないか、という理由だったらしいんだけど、高畑くんはポーカーフェイスだし、本当に接客が務まるのかよ、とこの仕事が決まってからずっと思っていた。
こっそり聞いたところによると、高畑くんはイケメンだからその容姿に惹かれて、ついついワッフルを買いたくなる女の子が増えるんじゃないかという考えなんだって。
……それも一理あるけど、本当に大丈夫か?
あたしと高畑くんの他に、ワッフル屋さんで仕事をするのは、前に愛菜とあたしに文化祭で案があるか聞いてきた女の子が2人いるわけなんだけど、彼女達ははなぜか、高畑くんと一緒になりたいとは思っていないようだった。
まあ、この2人はすごく仲がいいからね。
仮に高畑くんのことが好きだったとしても、片思いの人よりも友達を優先しちゃうタイプなんだろう。
その気持ちなら理解できる。
「じゃあ、2人ともよろしくねー!」
その子達は、手をひらひらさせながら屋台の裏側の方に回っていった。
あたしだって、仮に好きな人がいたとしてもそこで愛菜を見捨てるなんてできないし。
あたしは思わず、ワッフルのメニューに目をやった。