吸い込んで、夏。
「ばあ」
これだから千代田は。
「心臓、飛び出すかと思った」
「飛び出したら焼いて食べたげるね」
「やだよ。千代田、ほんとにやりそうでよけいやだ」
「やんねーよ」
ケタケタと笑っているこの男、だいぶツボが低いらしい。
「上月が見えたから、つい」
「つい、でひとを脅かすひと、はじめてだよ」
「上月のはじめて?よっしゃあ」
「皮肉ってるんだけどね」
道を歩いていたら、突然、家を囲んでいる塀から生首が現れたのだ。
しかも、ばあ。なんて言いながら。
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