吸い込んで、夏。
「ひとちがいだったら、どうしたの」
「しゃがむ」
「……瞬間移動みたいで、さぞ怖いでしょうね」
千代田はクラスメイトだ。クラスメイトだけれど、もう数週間も顔を合わせていなかった。
世間は夏休み。部活や友だちと遊ぶことに日々を駆けている同級生とはちがって、わたしは、暇だ暇だと言いながら目をつぶる毎日。
部活には入っていないし、友だちはプールだとか都会だとか、いかにもひとが多いところに行きたいそうなので辞退したし。
ほんとう、やることがないにもほどがある。
それも、今日で、終わりなのだけど。
……夏休み。最終日。