吸い込んで、夏。



窓が閉まっているのは、きっと、虫が入らないように。



この時期、蚊が多いから参ってしまう。



痒くならなくて、病気の心配もないとしたら、少しくらい血をやってもいいのにな。



「おまたせー」



窓が開けられ、クーラーボックスとかき氷機、千代田がやってきた。



「これ、可愛いっしょ」



青いペンギンのかき氷機。



「可愛い」



意外な一面というのだろうか、千代田と似合っていて驚いた。



縁側にそれらを置いた千代田が

「あ、皿とスプーン」

とこぼした。家の中に消える、という直前、顔だけを窓から出し、また生首状態。



「そこに水道あるから、手ぇ洗っていいよ」

「ありがと」



水道まで行き、蛇口を捻る。外の暑さに慣れてしまったわたしに、癒しの水が流れてきた。



脇に置いてあったハンドソープをワンプッシュ、もらって。洗った。



汗だとか夏の蒸し暑さだとか、そういうのが、流されて消えた気がする。


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