吸い込んで、夏。
鞄の中からハンカチを取り出して水分を拭き取っていると、彼が戻ってきた。
「んじゃ、やろうぜ」
クーラーボックスを開け、袋の中の氷をペンギンの中に吸い込ませる。
慣れた手つきで皿をセット、取っ手を回し始めた。
惹き込まれて見つめていると。
「上月も、やりたい?」
「……やりたい」
「ん、どーぞ」
かき氷機をつかった経験、というものがあまりないので、できるのかどうかは謎だ。
取っ手を握り、半分ほど積もった粉雪の上に、さらにのせようとする。
「うー」
なんだこれ。ぜんぜん刃が進まない。
そっか、氷を削っているんだ。難しい。
「はは、おれ、やろうか」
「うん、お願い……」
できなさすぎて、自分に失望しかけた。つらい。