ひと夏の守護天使
「判った。この端末を扉のIDスロットに繋ぐよ。

システムのバックアップ無しなら、それで開けられるだろ」

 そう言いながら、ダミーチップをスロットに挿入する。

 佐織から了解の返事があり、一秒と掛からず扉の電磁ロックが無効化。

ザッハが正面で銃を構え、サンディが脇から扉をスライドさせた。

 扉が開いたと同時に、ザッハが暗い室内へ、マガジンの第一層を全弾撃ち込む。

 部屋中に硝煙と粉塵が立ちこめる。

 間髪入れず、ザッハは室内へ突入。

 構造データに記載されていた部屋の天井にある排除システムを

マガジンの第二層にセットしてある炸裂弾頭三発で潰し、室内を索敵した。

 室内が確保されるのを確認して、サンディがヘッドマウント端末のバイザーを跳ね上げながら入ってきた。

「チーフ、サンディです。

現在目標が立てこもっていた制御室を制圧確保しました。

目標は確保できませんでした。

室内中央の床に、構造データに記載されていない地下への縦穴を確認。

目標はそこから逃亡した模様です。

指示願います」

〈こちらグレッグだ。画像データで確認した。

引き続き目標を追跡、生死を問わず確保せよ。

他の三人もそちらへ合流させる。

以上〉

 サンディは了解のシグナルを送ると、通信を聴いていたザッハに銃で指示、

先に縦坑を降下させ、ザッハが降下点を確保してから自分も続いた。
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