【完結】私が恋した上司は、野獣系メガネ上司でした。
「……なんか、マンガみたいな話だな」
「そ、そうだよね。びっくりしたよほんと……」
「よかったよ。何事もなくて」
「広沢くんのおかげだよ。ありがとう。ほんとに助かったよ」
「……ああ」
広沢くんが複雑な顔をしていたことは、この時少し気付いていた。
だけど私は、気付かないフリをした。
「広沢くん、ありがとう。助かったよ。じゃあまたね!お疲れ様!」
「待って……太田」
「……え?」
ふいに腕を掴まれて、振り返ると、広沢くんが真剣は眼差しで私を見ていた。
私は目を逸らすことができなくて………。
「……広沢、くん?」
「……俺、お前のこと好きなんだ」
「……え?」
突然の告白に、目を開けてまばたきをすることしかできなかった。
掴まれた腕を離すこともできなくて………。
「……ずっと好きなんだ、太田のこと」
「あの、ひ、広沢……くん?」
「……ごめん。今の忘れて」