【完結】私が恋した上司は、野獣系メガネ上司でした。
「……ちょっと待て」
「え?何ですか?」
「……お前、お酒飲めるか?」
「え? あっ、はい……」
「じゃあ着いてこい」
「へっ? あ、あの……!?」
篠崎さんに手を引かれ、私は歩き出した。
向かった先は、とあるバーだった。
「……1杯だけ、付き合え」
「えっ、でも……」
「1杯だけでいい」
「……1杯だけ、なら」
「好きなの頼め。俺のおごりだ」
「いえ、ここは自分で払いますから……!」
「俺が誘ったんだ。俺が払う」
「……ありがとうございます」
私はカシスウーロン、篠崎さんはハイボールを頼んだ。
お酒が来るまでの少しの間、沈黙が続いた。
「……太田ってさ」
「はい?」
「なんでそんな、俺のこと好きなの?」
「……えっ!?」
唐突に切り出されて、驚いた。
なんでそんなこと言うんだろう……。
「教えて。何で好きなの?」
「何でって言われても……」
「好きなんだろ?俺のこと」