【完結】私が恋した上司は、野獣系メガネ上司でした。
「……なんだ。やっぱりお前、あの子のこと好きなんだな」
「はっ?」
好きって……?
俺が、アイツを……?
「……何言ってんだ」
「だって、文香ちゃんのことになると、余裕ない顔してる」
「……うるせぇ」
アイツと初めてキスしたあの日から、俺はアイツのことが頭から離れなかった。
アイツにキスするだけで、俺は自分が自分じゃなくなる。
アイツを思うと、自分を抑えることができない。
……この気持ちにフタをしていたのは、知られたくなかったから。
アイツを誰にも渡さない。
俺だけのものになってほしいって、そう思っていたから。
「いい加減、素直になれば?」
「…………」
「じゃないと、俺が文香ちゃんのこと奪っちゃうけど、いいの?」
「はっ!? いや、ちょっと待て……!」
「早く気持ち、伝えたほうがいんじゃない?」
「……うるせぇ」
俺はその場から立ち上がって、そのまま歩き出した。