【完結】私が恋した上司は、野獣系メガネ上司でした。
「……っ!」
広沢の目の色が変わった。
「なるほどな。俺がアイツと付き合ってることが、そんなにイヤなんだ?」
「……イヤですよ! 先にアイツのこと好きになったのは、俺ですから」
「だったら何? 悪いけど、俺は文香のこと渡すつもりなんてないけど?」
「……先輩は、太田のこと本気なんですか?本気で好きなんですか? もしその気がないに付き合ってるなら、すぐに別れてもらえませんか?」
「ーーー本気、だって言ったら?」
「…………」
「悪いけど俺、アイツのこと本気だから。文香のこと手放すつもりなんて、ないけど?」
「……そうですか。分かりました」
「あーちなみに言うと、醜い嫉妬は相手に嫌われるから、気をつけろよ」
「……っ!?」
広沢は一瞬だけ立ち止まり、そのまま休憩所を出て行った。
あの反応で、俺は感じた。
アイツが。広沢が、今でも俺と同じくらい、本気で文香のことを好きなんだと。
……だから、絶対に手放してやらない。