【完結】私が恋した上司は、野獣系メガネ上司でした。
「……なーんてな。冗談だよ」
「……え?」
「さっき見たこと、内緒にしておいてね?太田さん?」
篠崎さんは、そう言うと、またメガネをかけ直して空き部屋から出て行った。
私は、突然のことにビックリして、目をキョロキョロさせるしかなかった。
「な、何なの今の……!」
その本性を見てしまって、どう接したらいいのか分からなかった。
「……ていうか、あの女の人、誰?」
キスしてたってことは、やっぱり彼女なの?
そうだよね……。
あんなにカッコイイんだから、彼女くらいいるよね。
私ったら、すぐ考えれば分かることなのに、気づいてなかったなんて………。
あ~、一生の不覚……!
その日以来、あの女の人のことが気になり始めてしまい、気付いたら社内を探すようになっていた。
いけないと思いながらも、知りたかったから。
彼女がどんな人なのか、どんな顔をしているのか。
直接見て確かめたかった。