死にたがり屋の少女は暴走族と・・・

【未雨side】


あの日…事故で家族を失ったあの日から私は生きる意味をなくした。


生きる意味がわからなくなってしまった。


お父さんとお母さんが亡くなったのは事故が起きたその日に知らされた。


「嘘…でしょ?」


お父さん!!お母さん!!


「嘘だ!!お父さん…お母さん…」


私は遺体安置室で横になっているお父さんとお母さんの手を握りしめていた。


ん?詩雨の遺体は?


「あの…詩雨の、私の弟は?」


「未雨ちゃん、君の弟…詩雨くんの遺体は見つからなかったんだ。」


「えっ?」


「詩雨くんはもしかしたら生きているのかもしれない。僕らも必死に探しているから未雨ちゃんは心配しなくていいからね?」


そう言って警察のおじさんは遺体安置室から出ていった。


詩雨が生きてるかもしれない。


詩雨が生きているというのなら、私は詩雨を探さなきゃ。


「お父さん、お母さん。絶対に私が詩雨を見つけるからね?」


「心配しないで。2人がいないのは寂しいけど、私、頑張るから。」


涙をふいて私は決意した。


その決意をしたのは13歳のときだった。


13歳の私はこのような時どうすれば良いかわからず、葬式などは警察のおじさんや、親戚の人達が全てしてくれた。


私にはおじいちゃんもおばあちゃんも既にいなかったから親戚に引き取られるはずだった。だが誰も私を引き取りたいとは思っていなかった。


そりゃ…そうだよね。


自分の子じゃないのに…育てたいと思う人がいるはずない。


葬式から1週間がすぎても私の引き取り手はいなかった為、施設に預けられようとした時だった。


霖也と出会ったのは。


「君は…柊家の娘さんだよね?」


誰?


私の事…知ってるの?


「俺が君を引き取ってあげようか?施設に行くのは嫌だろ?」


その人は気味悪い顔でニヤリと笑って言った。


何?この人…気持ち悪い。


けど…施設に行くのだけは嫌。


私が施設に行ったら…詩雨を探しに行くことや、自由に出歩くことが出来なくなっちゃう。


「そう言えば君は知ってるか?君の弟、詩雨が生きていることを。」


詩雨が生きてる!


ん?でも…
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