死にたがり屋の少女は暴走族と・・・
【璃羽都side】




『璃羽都』



置いてくな



『璃羽都、私ね璃羽都のこと…』



待ってくれ







「っ待て!!」


大声でそう言いながら俺は夢から目覚めた。


「夢…か…」


また、同じ夢。


『璃羽都』


俺の名を呼ぶあいつの声。


未雨が俺を庇って撃たれた時、未雨まで失ってしまうと思った。


あいつと同じように。


最近は見なくなっていた夢…。


いや、見なくなっていたんじゃない。


俺が目を背けたんだ。あいつから…


俺はまだあの時のまんま。


あいつが…死んだ時のまま変われてない。


俺のせいであいつは…あいつの人生は全て奪われてしまったのに俺は…。


周りは変わっていってる。


蒼弥だって乗り越えた。


なのに、俺は未だに乗り越えられていない。


もう、あいつのように誰かが俺の前からいなくなるのは嫌だ。


もう何もかもが嫌なんだ。


どうせなら、あの時あいつじゃなくて俺が…


そう思っていると部屋の扉が開き、


「璃羽都?」


心配そうな顔して俺の名を呼び、部屋に入ってくる未雨。


「叫び声が聞こえたんだけど…大丈夫?」


俺は何心配させてんだよ。


未雨に心配かけるわけにはいかねぇ。


もちろん、蒼弥にも。


これは俺自身の問題だからな。


そう思って、俺は笑顔で未雨に「大丈夫だ」と伝える。

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