死にたがり屋の少女は暴走族と・・・
【蒼弥side】


未雨ちゃんが俺らの目の前で撃たれた。


「未雨ちゃーーーーん!!!!!」


俺は未雨ちゃんのお願いで俺を拘束していた仲間の腕を振り払い、未雨ちゃんの元へ駆け寄った。


「未雨ちゃん!未雨ちゃん!しっかりしろ!」


「しっかり…してくれよ…」


俺だって目の前で大切な人が死ぬのは見たくねぇーよ。


目を覚ましてくれ…未雨ちゃん。


未雨ちゃんが目を覚まさなかったら俺が美月ちゃんに怒られるんだぞ?


なぁ?目を…目を覚ましてくれよ。


俺は一切動かない未雨ちゃんをゆっくり自分の方へ抱き寄せた。


「おい、てめぇ…。俺らの仲間に何してんだよ!!」


「おい、蒼弥!やめ…「やめろ?何アホなこと言ってんだ!仲間が…璃羽都と未雨が撃たれたんだぞ?」


「誰が黙ってられるかよ!!」


俺は完全にキレていた。


よくも、未雨と璃羽都を…。


「蒼弥。わかった。」


遥輝、わかってくれたか?なら…


「みんなと一緒に…「お前らは未雨と璃羽都連れて先に出てろ。」


遥輝は俺の言葉を遮って仲間にそう言った。


それを聞いた仲間達は未雨と璃羽都を連れて外に出ていった。


「はぁ?何言ってんだよ!お前も行けよ!」


「あぁ?お前一人だけ残る気だったのか?アホか。本物相手にお前一人で適うわけねぇーだろ。これだから馬鹿は…」


誰に馬鹿だ!!


「俺らじゃ適わねぇーからみんなを逃がそうと…「なら!尚更お前だけ置いてくことはできねぇーな。」


遥輝…。


お前には夏那ちゃんが居んだろ?


「お前には…待ってる奴がいる。」


「それはお前もだ。蒼弥」


どうにかして遥輝も一緒に逃げて欲しかった。


なのに、こんな顔みちゃできねぇーじゃねぇーかよ。


「俺が仲間を置いてくさいてーな奴にでも見えるか?」


そうだよな。お前は誰よりも命令されるのが嫌いで、自由人で、夏那ちゃん大好きで、面倒くさがりやだ。


けど、誰よりも仲間思いで仲間をぜってぇーに裏切らねぇー男だったな。


「ほんと、めんどくせぇー男だ。逃げろって言ってんだから素直に逃げろよ」


「んな事できるかよ。さっ、かたつけよーぜ?''相棒''」


こんなの時に''相棒''なんて言うのかよ。


いつもは言わねぇークセに。


ほんと、タチの悪い相棒だぜ。


「あぁ。やってやろーぜ''相棒''!」


そう言うと俺らは組長に向かって走り出した。
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