死にたがり屋の少女は暴走族と・・・
あれからどのくらい時間が経ったのだろう。


どれだけ殴っても、蹴っても組長を倒すことができない。


倒すどころか、俺らがピンチなくらいだ。


「もうおしまいか?口ほどにもない奴らだな」


組長の言葉に対して、ボロボロの遥輝は


「おい蒼弥。まだ、まだいけるよなぁ?」


俺にそう言ってきた。


当たり前…だろ?


ここで負ける訳にはいかねぇーんだよ。


「あたぼーよ!」


負けるとわかっていても、殺られるとわかっていてもここで諦める訳にはいかない。


まだ、希望がある!


それに…大切な人達を奪われないよう。ここで倒すしかないんだ。


「早死したいようだな。」


死にたい?んなわけねぇーよ。


「おい、組長さんよ。随分余裕そうだな。後々俺らにやられても文句言うなよ?」


遥輝が組長に向けてそう言うと


「ハッ。この我がお主ら小僧に負けるとでも?バカバカしい。」


せめてあいつが少しでも隙を見せてくれれば…。


と思うもののあいつが隙を見せることは全くない。


このままじゃ拉致があかねぇー。


「ガキはガキらしく大人しくしていればいいものの。」


「大人しくしてたら殺さないでくれんのかよ。」


「俺らの親も関係してるっつーことは俺らもいずれ殺すつもりなんだろ?」


遥輝はそう言って一人で突っ走った。


「おい、遥輝!」


そんな遥輝に組長は銃を構え、どんどん撃つ。


あんっの馬鹿!


一人で何突っ走ってんだよ!


俺も!


そう思って俺も組長の元へ全力で走り出した。


そんときだった。俺は右腕を、遥輝は左太ももを撃たれた。


「ウグッ…」


「ッツ…」


「やはりガキはガキだな。口だけだ。」


ほんとにもう、終わりなのかよ。


仲間を撃った奴に何もすることが出来ずに…終わんのかよ。


「クソッ…」


なんでこんなに弱いんだよ。なんで俺は!何も守れないんだよ!!


そう思ってたのは遥輝も同じようだった。


顔を見れば分かる。


「これで終わりだ。」


俺ら2人は銃を向けられた。


ごめん。ごめんな璃羽都…ごめんな未雨…。


俺は2人に謝りながら目を閉じた。
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