死にたがり屋の少女は暴走族と・・・
【遥輝side】


力の差がある。それは分かってた。


けど、仲間やられて黙って逃げることは出来ない!


叶わない。とわかってても勝ちたかった。


あいつを…あいつを倒したかった。


俺の家は表は有名な財閥だが、裏ではヤクザだ。


小さい頃からもちろん訓練はあった。


けど俺は何度も逃げ出した。


あの時、ちゃんと訓練をしてたら…。今更後悔したって遅いのはわかってる。


けど、悔いても悔いたりねぇ。


俺は…俺の力は何のためのもんなんだよ。仲間を守るためにあるんだろ?


なのに…仲間ひとり守れなかった。


「クソッ…」


「……」


まだだ。まだ諦める訳にはいかねぇ。


俺はまだいける!


俺は再び顔を組長に向けてまっすぐ走り出した。


そんな俺に後ろから蒼弥が名を呼ぶが無視だ。


組長は俺が走り出すと、銃を構え撃ってきた。


俺はそれを一生懸命避ける。


気がつけば隣には蒼弥もいて、あいつも銃弾を避けてた。


まだ、お前も諦めきれなかったんだろ?蒼弥。


最後の悪あがきといこーぜ。


それからひたすら銃弾を避けたが、とうとう限界が来てしまい、俺は左太ももを。蒼弥は右腕を撃たれてしまった。


「ウグッ…」


「ッツ…」


クソッ。もう、動けねぇー。


動きたくても足が動かせねぇー。


本当にこれで終わりなのか?


俺らは組長に銃を向けられた。


《遥輝、絶対無事に戻ってきてね?私、待ってるから。》


《遥輝が戻ってくるの、ずっと待ってるから!約束!》


ごめん…ごめんな夏那。


俺は夏那に心の中で謝りながら静かに目を閉じた。
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