死にたがり屋の少女は暴走族と・・・
そんときだった。


銃が発砲する音が響いた。


ごめん…ごめんな夏那。


死を覚悟していたのにいつなっても銃が当たらず目を開けると、そこには苦しそうに腕を抑えている組長が。


「お前らここまでよくやった。」


この声はっ…。


「っ…親父!」


「輝燈さん!」


組長の腕を撃ったのは俺の親父だった。


どうして親父がここに…。


「お前らボロボロだな。あとは俺がやる。後ろに下がってろ。」


親父はそう言うと俺らの前に立ち、組長に向き合った。


「ひさりぶりだな。武(たけ)。」


「神楽…」


「神楽だなんて他人行儀だなぁ。昔は名前で呼んでたろ?」


「もう名前で呼んでくんねぇーのかぁ?あれか?」


「俺らの命を狙い、みんなの命を奪ったから…か?」


親父とこいつは…名前で呼び合う仲だったのか?


俺の頭は混乱中だった。


「なんでお前だけそんな道に行っちまったんだよ。いや、違うな。お前が行っちまったんじゃなくて、俺らが行かせちまったのか。」


親父は意味の分からないことを言いだした。


ここからは俺らが分からない話なんだろう。


でも、俺らには知る権利がある。


そう思いながら俺は親父達の話に耳をかたむけた。
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