死にたがり屋の少女は暴走族と・・・
「あん時、お前を一人にするべきじゃなかった。すまなかった武。」


「なんで今更謝る…!我は許さん。」


二人の間には不穏な空気が流れている。


「だから…この手で俺がお前を殺る(止めてやる)。それが俺の…俺らの償いだ。」


そう言って輝燈は再び銃を構えて、武に向かって撃った。


流石は現組長同士の戦い。


どちらとも譲らなかったが、急にその状態はかわった。


輝燈が武を推し始めた。次第には武の頭に銃口をくっつけた。


「お前は本当に変わっちまったんだな。」


《あなたは本当に変わっちゃったのね。》


「っ…お前と言い、あの娘といいどうしてあの女と同じことを言うのだ!!」


あの女?


「あの女の仲間だからか?あの女の実の娘だからか?」


武は急に一人で喋りだした。


「武…。お前、ほんとに雨梨が好きだったんだな。」


確か、武の初恋は雨梨だった。


だから…雨梨が言ったことに縛られてるのか。


でも、そのおかげか。あいつが本気で俺を撃とうとしないのは。


雨梨の声があいつの鬼を抑えているのか。


「武、もう終わりにしよう。もう、良いんだ」


この会話を聞いている奴らは何が何だかわかっていないだろう。


武は世でいう二重人格ってやつだ。それを知ってて俺らは昔…学生の頃から仲良くやっていた。もちろん他のみんなも。


一人は本当に良い奴で純粋なやつ。そして今、目の前にいる武はもう一人の…悪に染まった鬼だ。


武はそれに困っていた。なのに俺らは自分のことで精一杯でそんな武を一人にしてしまった。


武はそれで鬼に呑まれた。


これは嘘みたいな本当の話だ。武の中にいる鬼は人を殺すのを楽しがっている。そしてその鬼が本格的に動き出したのが武が海外に行ってから5年経った頃だった。


武は海外で散々暴れ、日本に戻ってきた。それを知った俺らは武を元に戻そうと…武の中にいる鬼を殺そうとした。


が、逆にみんなは鬼に殺されてしまった。
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