神様の初恋
「掃除は私がしますから、月夜は休んでください。月夜は神様ですし……」

そう言う優愛に「僕がしたいからするんだ」と月夜は笑う。そして二人は境内の掃除を続けた。

月夜は神様という立場ながら、優愛に恋心を密かに抱いている。優愛の家に居候させてもらっているのは、人間の暮らしを知るためで多くの人と出会ってきたが、恋をしたのは初めてだ。

「きゃっ!」

優愛が悲鳴を上げ、月夜が振り向くと優愛は転んでしまうところだった。慌てて月夜は優愛の体に腕を回して抱き止める。

「大丈夫?」

「あ、ありがとうございます……」

互いに顔が赤くなっていくのがわかった。胸の高鳴りはどちらから聞こえてくるのかわからない。月夜は優愛の体の柔らかさや温かさに驚いていた。その時。

「いやぁ〜、朝から熱いね!お二人さん!俺は何でこんなもの見せつけられなきゃいけないんだろ」

朝っぱらだというのに境内に元気のいい声が響く。月夜と優愛は慌てて離れ、声のする方を見た。水色の髪に黄色の目をしたイケメンが立っている。髪と同じ色の着物に赤い袴姿だ。
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