神様の初恋
「兄上!」

「太陽!」

月夜と優愛は同時に言う。そして「ハモってる!」と月夜の兄である朝日奈太陽(あさひなたいよう)は笑い出した。太陽も月夜と同じく神で優愛の家に居候させてもらっている。

月夜と太陽は血のつながりは一切ない。神々の世界では血のつながらない兄弟は珍しくないのだ。月夜は両親を何者かによって殺され、太陽に拾われたのだ。

「俺も掃除、手伝うよ。優愛は今日も学校だろ?」

太陽はそう言い、ほうきを持ってくる。優愛は「ありがとうございます」と微笑み、僕の時はそんな顔を見えてくれなかったと月夜は頬を膨らませた。それを見て太陽がニヤリと笑う。

月夜はこの気持ちを誰にも話していない。しかし、太陽には恐らくバレているのだろう。

「こんな感情、なくなればいいのに……」

優愛の声を聞くだけで、視線を感じるだけで、月夜は胸を高鳴らせてしまう。諦めようとしても、どんどん好きになってしまうのだ。
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