愛は惜しみなく与う⑦
始動
熱い

顔が熱い

焼けるようにヒリヒリする


こんなところで止まってる暇なんてないのに。皮膚を突き刺すような痛みは、感じたことのない痛みで。

どうやって耐えればいいのか分からない


俺の名前を呼ぶみんなの声が、遠くなってくる


いやいや、俺はサトルを殴り飛ばしに来たんだろ?意識を手離そうとしてしまったが、そんな場合じゃない


あぁ

みんなを守らなきゃいけないのに


乾いた銃声


やっぱり持ってたか。雄作さんに借りてこればよかったな。なんてな


やべーな

耳も聞こえない気がする


ダメだ


怪我させないって決めたのに
こいつらも守るって決めたのに

俺を置いてみんな、逃げてくれないかな

こんなにマイナス思考なのは……


久しぶりかも


目も開けれない
のたうち回るしかないほどの痛み

耳も、おかしい





「鈴!!!!」



あ、ん?
おかしいな、杏の声がする



何か雑音がいっぱい聞こえる。その中で、大好きな女の声だけが…


耳に入った



---
< 1 / 404 >

この作品をシェア

pagetop