愛は惜しみなく与う⑦
そして目に入ったのは


鈴を掴んで笑うサトル

必死に鈴からサトルを引き剥がそうとしている、志木と新と慧


そして



「み、んな?」


1番大きな体が地面に横たわっていた。
ちょっと、まってよ


「泉?」



確認すべき事はいっぱいあった。

でも


1番すべき事



サトルたちはあたし達が来たことに気がついていない。

鈴の泣き叫ぶ声が、あの日と重なる



「やめてよ…」


身体は震える。自分が意識してこの震えを止めれるもんでもない。



ごちゃごちゃしてる中に飛び込む



そして1番にあたしを目に捉えたのはサトルだった



あたしを見た瞬間に笑顔になり、鈴の髪から手を離したサトルは


何事もなかったかのようにあたしに話しかけた



「久しぶりだな、待ってたよ」


全身を下から上まで舐めるように見るサトルの視線が怖かった


「杏様!」

「鈴を下げて。ほんでみんな下がって」


全員ボロボロやん。
志木は、片目が腫れている。どーゆうこと?



「みんなに何したん」

「ん?あーこいつら?催涙スプレーちょっとかけただけだよ」
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