愛は惜しみなく与う⑦
「しっかりしなさい。何度も言われてきたと思いますが、今がその時です。自分の足で立って、杏様の隣に並んでみなさい。後ろではなく……隣に立てるように。情けない姿を見せたら即座に海外に飛ばしてやりますからね」
志木は本当に優しい
私を叱ってくれる大事な人だ。
どうして優しさと感じ取れなかったんだろう。お姉ちゃんには優しくて、私には冷たいんだと思ってた。
でも志木はずっと、私の事を考えて話してくれてたんだね。
海外に飛ばすか…
本気でやられそうだな
志木の顔を見て笑う
そっか
私の周りには、こんな素敵な人たちがいたんだな……
勇気をもらえた。
正直まだ、サトルのことは好き
おかしな事とか、気になってることは山ほどあるけど、好きなのは事実。
だから知りたい
どうしてこうなったのか。
サトルがどうしてお姉ちゃんを好きなのか。
サトルはいつもと変わらない目で私を見る。
「聞きたいことがあるの」
お姉ちゃんと泉さんも、近くに居てくれている。
だから大丈夫
私は話さなきゃいけない。どんな残酷な現実でも受け止めなければいけない