愛は惜しみなく与う⑦
「なんだよ。マシな面になってるじゃん。杏にお説教でもしてもらったか?」
「……お姉ちゃんは凄い人だよ。優しいし強いし、人の気持ちに寄り添ってくれる」
サトルは黙って私を見る。
身の危険がない限り、お姉ちゃんと泉さんは口出ししないと言った。
だから、思う存分話せるよね
「サトルはお姉ちゃんが好き?」
「……ただ欲しい。杏の視界に俺以外入らないで欲しい。杏の声が聞けるのも、杏の姿を見れるのも、俺だけがいい。殺してでも側に置きたいと思う。
この感情が好きというなら、そうなんじゃないかな」
サトルは穏やかな顔で、独占欲の塊を吐き出した。歪んでる。そう思った。
「私を襲わせたのは、サトルなんだよね?」
「あぁ、そうだ」
ドクン
心臓が痛い
「どうして私を襲わせたの?」
「杏と結婚するためだ。お前が後継者から降りれば、おのずと杏が後継者になると思ったからだ」
まぁ思ったよりもお前たちの家庭環境が複雑で失敗するかと思った。そう笑った
サトルの誤算はお母様がお姉ちゃんを意地でも後継者に選ばないということ。