愛は惜しみなく与う⑦
生と死
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サトルを思いっきり殴ったものの、あたしは手を掴まれていたから、同じようにサトルと一緒にバランスを崩す

サトルは、なんで?とも言いたそうな顔をしている。



「まぁ口で語ったものの、あたしらは本来こういうもんや。話して解決するのは向いてないかなって思ってさ?あたしらに合った方法はこれやろ」


手をチラチラと振れば、サトルも何か理解してのか、あたしの手を離して一歩下がった。

サトルはかわいそうな奴やな


ほんまに周りに導いてくれる人はいなかったんやな。
まわりから囃し立てられて、どんどん悪の親玉みたいなんになってしまったんや。



でもさ



「あたしを見て、生きてみたいと思ったなら、もっとええ奴になってくれんと」


何であたしを見てそんな生き方になるねん。
あたしそんな負のオーラでてへんで?



「……人を傷つけて従わせて、力で押さえつけて反抗できないようにして…そんなやり方しか知らないから」


「あ、そう。でもさ?多分それは、サトルが知ろうとしてないからやで」


なんか身体が軽くなった
鈴が謝ってくれたからかな?サトルと少し話せたからかな?やっぱ人は話し合わなきゃ分からへんよな
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