愛は惜しみなく与う⑦

周りの音が一つも聞こえない
ただリズム良く心臓マッサージをすることしかできない。


お願いやから


神様



あたしに大事な人を守らせて


どれくらい経ったやろう

ただ必死で


志木…



「ッハ!!」



!!!!


「志木!!!」


ずっと息が詰まっていたかのように、突然息をした


もう、何も見えない
涙で志木の顔が見えない



「あ、ん?」

「喋らんといて」


ふわっと抱きつこうと来たけど無理やった。志木の頭を抱きしめる


「息してなかったんやで!!!一瞬死んだんやで!!!」


怖かった
また目の前で失うかと思った

そんなんもう、耐えられへん



「ごめん。あたしが志木を…」


あたしが迷ったりしたから…


「杏様……帰りましょう」



よかった
志木の温もりを感じで安心した。

本当に、あたしが心臓止まるかと思った。
まだ手が震えて身体中から冷や汗が止まらへん

でも、早くしなきゃ



「泉!!」


あたし達を守りながらサトルの攻撃をかわしてくれていた泉


ごめんな

ありがとう



「志木を連れて病院に行って」


泉の瞳が揺れた
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