愛は惜しみなく与う⑦
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「傷が悪化してか、志木の身体が持ちそうにない。おねがい。志木を守って!!」


杏は俺の服を掴んで涙ながらに訴えた。
肝が冷える

本当に志木さんが死んでしまうんじゃないかって身体が震えた


杏の適切な対応のおかげで息を戻したが…


一時凌ぎだろう


今すぐ病院へ連れて行かなきゃいけないことは分かってる。でも、杏は?

どうする?



「早く!!!」


ドンと突き飛ばされる



言いたい言葉もすべてグッと飲み込む



「必ず戻る。それまで待ってて」



杏が志木さんを連れることはできない。杏がこの場からいなくなるなら、すぐにでもサトルは爆破するはずだから。

妹に任せることもできない。


俺が…やるしかない


志木さんの腕を肩に回して体を持ち上げる。話すことができないのか、呼吸が荒く、必死に酸素を吸っているように感じる


「ついてこい。お前も出るぞ」

「で、でもお姉ちゃんが…」

「お前がいて何かできるのか?杏なら大丈夫だ。」


大丈夫だと思うしかないだろ?言い聞かせなきゃ、俺はここから動けない。
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