愛は惜しみなく与う⑦
運良く生き残れるなんてあるのか?

ほんの数秒なのに、沢山のことが頭をよぎった。あいつらは大丈夫なのか。影響は外には少ないのか


色々考えた


でも何も起こらなかった


ハッタリ…だったのか?




「嘘だ。なんで?なんで作動しない!!」


でもサトルは狂ったように時計を眺めて、腕から外して地面に投げつけた



「なんだよ!!壊れてんのか!?今吹き飛ばさないでいつ吹き飛ばすんだよ!!!」


あまりの怒り具合に、本物だったんだと身震いした。誤作動か?


そう思ったけど違った



部屋の外から歩いてくるのは、見覚えのある男



「水瀬?」


下を向いた歩いてくるのは、戦意喪失していた水瀬だった。その手には何か黒いものを持っている


俺の横を通り過ぎて、杏とサトルのいる場所へ

でもその姿に声をかけれなかった。


水瀬は泣いていたから



「サトル、もうやめよう」


水瀬はそう言って、持っていた黒い物体を地面に放り投げた


大きな音を立てて転がる黒い物体



「なんでお前が爆弾もってんの?ちゃんと仕掛けてあったろ?」
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