愛は惜しみなく与う⑦
その黒い物体を見て、サトルは声を震わせた


これが、爆弾?



「何?お前、これどうしたの」

「俺が作った奴なんでね。解除しました。サトルがどこに置いたか知ってたから。全部……もう動かない」


水瀬が…爆弾を作った?それに解除?

とりあえず爆発しなかったことを喜んで、俺は直ぐにでも行くべきか?

杏は…


水瀬とサトルと3人にして大丈夫か?



水瀬は……サトルを裏切ったのか?



「蕪木、行け!」



水瀬にそう言われて杏を見れば、縋るような目を向けた。分かったよ。

必ず志木さんを助ける


「足動かせますか?」

「…はい。水瀬の登場で少し目が覚めました」

「了解です。少し走ります。死にそうになったら言ってください」

「もう、すでに死にそうです。杏様の所へ……戻ってくださいね」


でも私が死ぬと杏様は泣いてしまうから、私のことも生かしてください。志木さんはそう笑った


杏を生かすためなら、自分も犠牲にする志木さんは、変わった。

杏の未来に貴方がいなきゃダメだと分かったんですね。



「杏様の目の前で死ぬなんて、なんたる失態」


「次からは気をつければいい」

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