愛は惜しみなく与う⑦
「…ん、な」
「は?なんて?ちゃんと喋れよ!!あ、首絞められてるから、話せないのか」
ハハハと狂ったように笑うサトル
モヤがかかったかのように、頭がぼーっとして、五感がおかしくなる
最後に…みんなに会いたかった
サトルも、出来るなら救ってあげたかった
最後の力を振り絞り、サトルの手首を掴んでいた自分の手を動かして、サトルの頬に触れる
その頬は涙で……濡れていた
「ごめん、な」
少し力が緩んだのか、声が出た
ほんまにあたしの声なんかなってくらい、汚い声
喉潰れたかな
もう、力入らんわ
あたしが戻らなきゃ、みんなの頑張りを無駄にしてしまうのに。
みんなもごめんな
「ッ!!!!」
ドサっと私の身体は地面に倒れた
痛いなぁ。でももう自分の意思で動かせれへん
「おい…ごめ、ごめん。杏!死なないで!謝るなよ!俺…どうしたら!」
顔を押さえて焦るサトルが見える。大丈夫やでって言ってあげたいけど声が出ない
こんな可哀想な人間みたことなかった。
サトルが言ってた、もっと早く出会って話せてたらって言うの…
あたしも思ったよ。