愛は惜しみなく与う⑦
サトルはまだ…人を殺したことはないの?


「何寝ぼけたこと言ってる?俺はお前の妹を殺してるんだぞ」

「いや、違う。愛は…お前の目の前で自殺しただけだ。最後お前に見られて死にたかっただけだから…手にはかけてない」

「………覚えてないよ。でも俺が殺したことに変わりはない」


そこまで望むままに追い込んでやったんだから。

サトルと水瀬の会話
それを他人事のように倒れ込んだまま聞くしかなかった。

愛さんは自殺?

なんか失礼なんかもしれへんけど、サトルって、表沙汰になってないだけで、何人も殺してるんやと思ってた。
うん、ごめん、でもそう思うよ

あたしも今殺されかけてるわけで



指先は辛うじて動くけど、身体は動く気配がない

ほんまにやばいな
水瀬が今のところ、味方っぽいのだけ救いやな


「とりあえず外に出よう」

「で、でも…外に出たら俺はもう二度と…杏に会えないのか?」


そんな悲しい声出さんといて

なんでそんなに、あたしを好いてくれたんやろうな。


「死ねばそれこそ二度と会えない」


サトルの啜り泣く声が聞こえる

でももう、目も開けれへんねんな
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