愛は惜しみなく与う⑦
顔にはサトルに殴られた跡が残ってる。でも何も気にならないのか、昴さんと志木さんの間を縫って、杏がいる部屋に行こうとする


「待ちなさい!!そんな悲しいこと、杏様の前で言ったら、一生許しませんよ!!!」


妹を投げ飛ばす勢いで志木さんが妹の肩を引いて、扉から遠ざけた

案の定ふらついた妹は地面に転がる


でも何も言わずに立ち上がる



異様な空気


妹は…何を知ってるんだ?どこまで知ってるんだ?



「杏様があなたを嫌いなら、こんな事になってないでしょ!!!あなたみたいな分からずや、杏様に愛されてるのが勿体無いくらいだ」


こんなに怒鳴った志木さんを、見たことがない


さすがの泉も動きを止めた



「この半年、いや、サトルにあなたが出会ってから……本当にあなたのお姉さんが、あなたを傷つけたいと思って行動してたと思いますか?どうして気づかなかった。どうして自分で分からない。あなたをずっと裏で守ってたのは杏様ですよ!!!!」


志木さんの悲痛の叫び
誰1人としてそこに入っていけなかった。

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