愛は惜しみなく与う⑦
「わかんないのよ!!!!知ってたら…こんな事になってないでしょ!!」
志木さんの服を鷲掴みにして、妹は地面に崩れ落ちるように座り込んだ
「サトルしか…居なかったんだもん。お姉ちゃんはどんどん遠くなっていった。誰にも言えないよ!!!」
妹は地面に広がる石を志木さんに投げつけた
俺の近くにいた敦子と美奈子が、座り込む妹のそばに駆け寄って、そっと抱きしめた
「志木には分からないよ!!!!あの時、死にたいと思ったの!私、女の子なんだよ?キスだって好きな人と初めてしたかったんだよ?なのにあの日……全部終わったんだよ?」
「私たちに相談すればいいじゃないですか。何のために私達があなたの側に居たと思うんですか!」
志木、言いすぎるな
そう美奈子は言ったが遅かった
「私は犯人を探して欲しかった訳じゃない!!!志木はそれしか出来ないでしょ!?!?犯人見つけてどうなるのよ!会ってこいつらが犯人ですって言えばいいの?訳わかんない。お姉ちゃんだって…犯人ボコボコにして何になるの?あの時……あの恐怖から救ってくれたのはサトルなんだよ?」