愛は惜しみなく与う⑦



「杏!!!!」


まるでそこに寝かされたかのように、綺麗に杏は倒れている。


「杏!目を覚ましてくれ。お願い」


膝をついて杏の顔を覗き込んだそのとき、血の気がひいた


杏の頭から血が大量に流れ出ている。


ぶつけたのか?意識は?


脈はある。でもこのままじゃ確実に危ない


動かすこともできない


杏の綺麗な顔には傷がいっぱいついている。


「馬鹿だな。女の子なのに…顔に傷作るなって言ったろ?」


冷たくならないように杏の頬に触れる


ポタポタと自分の髪から杏の顔に水が滴り落ちる。


これが雨なのか自分の涙なのか


俺には分からなかった



自分の服は汚いけど、無いよりマシだ。



杏の頭をそっと上げて裏返しにした自分の服を傷口に当てて寝かせる。

血が出過ぎていて、止またのかも分からない。ただ後頭部から痛々しいほどに流れ出た血が、色々と物語っている。


「ごめんな。傍に居れなくてごめん。守れなくてごめん。いっぱい傷つけてごめん。ちゃんと謝るから…もう二度と傷つけないから…」


悔しい

自分の好きな女1人守れないなんて


こんなの情けなさすぎるだろ。
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