愛は惜しみなく与う⑦
「わかりました。おい、タオル持ってこい」
隊員は4人来てくれた
2人が杏の身体をそっと持ち上げて担架に乗せる
「すみません、傷を押さえててあげてくれませんか?」
綺麗なタオルを渡されて止血に加わる
「大丈夫ですよ!必ず助けますから。あなたは彼女の名前を呼び続けてあげてください」
さぁ、手も握ってあげて!
そう言って隊員は杏の手と俺の手を繋がせた
一気に現実に引き戻された
杏が死んでしまうんじゃないかって
言われた通り杏の名前を呼び続ける
杏がいない世界なんて、考えららないんだ
「救急車も入ってこれる処まで入ってきました。すぐ乗せれますからね」
「そっち持って!呼吸器つけて!」
てきぱきと目の前で応急処置が行われる
俺は何もすることができない。
名前を呼ぶ以外できなかった
「近くの病院まで向かいます」
水瀬やサトルはどうなったんだろう。外に出たのに何も見ていなかった。
俺は付き添っていいのかな
後処理をみんなに任せていいのか?
いや。
今は杏が優先だ
病院までの道中、杏の名前を呼び続けた
どうか目を覚ましてくれますようにと
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