愛は惜しみなく与う⑦
「お前ら家に戻れ。ここからは大人の出番だから。俺は少しの間は戻れないかもしれないが、組のやつもいるから」
雄作さんにそう言われて、組の人たちに杏の家まで送られた。
妹はどうなったか
サトル達はどうなるのか
ただ雄作さんが言うに、婚約者の大々的な逮捕があれば、明日の誕生日会も中止だろと言った。
妹は……どうするんだろう
杏は…大丈夫なのか?
頭の中で考えても何も進まなくて、俺たちにできることはもう無かった。
「志木は手術終わったみたい」
沈黙が続いた中、昴さんが携帯を見て声を出した。
杏よりも早く病院に運ばれて、すぐ手術だったみたいだ。
「意識は?あるん?」
「うん、本人から連絡が来たから」
あんな死にかけていたのに、志木さんの生命力は本当にすごい。
「杏のこと……知らないみたいだ」
志木になんて伝えればいいんだと昴さんは頭を抱えた。
泉と同じで、その場に入れなかったことを悔やむだろうな。
そうなれば、傷が悪化してしまいそうだ
「泉が話すよ。きっとね」
慧は困った顔をして笑った。
そうだな…
泉が志木さんにちゃんと話してくれる