愛は惜しみなく与う⑦
「志木、あんたは黙りな」
「……っ」
妹を襲わせたのがサトルで、助けたのもサトルだけど、妹は…
その瞬間、サトルに救われたんだろうな。
それで、仕掛けたのが杏だと教え込まれたら……壊れるか
悔しそうにそっぽを向いた志木さん
気持ちは正直想像することしかできない。そしてそれを分かってくれるのは、同じ女しかいないんだと思う。
杏には…言えなかったのかな
「杏ちゃんに…相談しようとは思わなかったの?」
この中の男で唯一、女の気持ちに寄り添えそうな慧が膝をついて、妹のそばに行った。
正直俺に出来ることはない
「お姉ちゃんは…きっと私がそんな事になったら、傷つくから…!守れなかったって泣いてしまうから」
涙を流しながら話す妹
なんだよ
杏のこと、大好きじゃん
なんでこんなに拗れたんだよ。
ちゃんとお互いがお互いを大切にしてるのに。
「杏が…お前を襲わせたってサトルに聞いたんだろ?」
黙っていた泉が妹に声をかけると、妹はビクッと身体を震わせた。
そんな怖い声を出すなと言う敦子と美奈子を泉は無視する。
「なんでサトルを信じた?自分を大事にしてくれてる姉じゃなくて」
「そ、それは…お姉ちゃんが…」