愛は惜しみなく与う⑦
「じゃあ、何も言わずに居なくなれよ。全部捨てて一人で生きてみろよ。きっとお前には……そこまでできないよ」
殆ど話したこともない俺にこんなこと言われたらウザいだろうな。
まぁ、いい。好かれようと思ってないから。
客観的に……いや、杏のことを考えて、1番なのは、こいつが普通に振る舞うことだと思う。
俺らからしたら、裏切ったんだから一緒に警察に突き出せと言いたい。
まぁ妹の罪という罪はなくて、杏を裏切ったことだけなんだけどさ。
でも杏が今ここに居たら…
絶対妹にそんな事言わせないから。
「まーまー…座りな?もう責めるとかそんなんじゃないから。ただあたし達は、100%杏ちゃんの味方やねん。鈴ちゃんに何があったかは知ってるけど、全部ひっくるめても、杏ちゃんがあたし達の中で全てやねん。
だからさ……杏ちゃんのことを思うなら…罪悪感あるなら…
東堂財閥を潰さんといてあげてくれへんかな?」
立ち尽くす妹の手を敦子が握りそう言った。
杏がいつ目覚めるか分からない今
俺たちや妹の判断で物事を進めていいのか分からなくなるけど。